11歳女子。学校は週二回ガタガタ道を片道1時間バスに乗って通う。それ以外の日は一周まわるのに一時間もかからない小さな村をぶらぶら友達と歩いたり、妹と弟の世話をして過ごす。

その年齢だった頃の自分を思い出すと、なんだかもっと違う体験をしてみたいんじゃないかと思って、私と一緒に保育園で働いてみないかと誘ってみた。

働き始めてから、彼女は毎日少しずつ”早めに”働きにくる。最初は9:30、次は9:15分、次は9:00。とうとう昨日は8:45に現れた。

給料は変わらないよと言ってある。それでも早くくる。明日は8時に来ると言っている。

給料はオンラインで買い物ができるギフトカード。私の会社の規定で11歳までは子どもヘルパー扱いで時間給ではない。とはいえ彼女は下に5人の弟妹がいるから、幼い子の面倒を見るのはプロ級である。しかも一度言った事は私より良く覚えているくらいで、しょっちゅう助けてもらっている。

ギフトカード以上の働きをしてくれてる彼女。私の気持ちのバランスのために、塗り絵好きな彼女に、何十色もの色鉛筆が入った塗り絵のセットをプレゼントして、仕事の合間に色塗りしてたらいいよといった。家では彼女の宝物は全部妹と弟に見つかるから、すぐぐちゃぐちゃにされて隠す場所がない。と言っていたので、保育園に置いておく事を勧めた。

彼女の存在は本当にありがたい。子ども同士で何か揉め事が起きた時は、親身になって解決しようとする。両方がハッピーになるようにアイディアを振り絞り、子どもの気持ちに寄り添った、私にはない発想を提案してくる。大人の私の仲裁なんかより、よっぽど当事者の子どもには納得しやすい。毎回即採用!

そんな彼女にギフトカードをあげる日、彼女はもう楽しみで仕方ない様子で、終日何を買うか前から決めてあるプランを話してくれた。初めてのお給料で買うものは、お父さんにあげるドラゴンボールのパーカーと、親友にあげるケータイケースだという。そして自分には映画のDVDと以前話していたが、もう他人のプレゼントの事で頭がいっぱいのようだった。

私がその年齢だったらと考える。おそらく使えるお金めいいっぱい使って自分が欲しいものを買うだろう。

本当に心が豊かなのだ。例え選択肢が多くても、受験や通学時の満員電車のストレスがない村の暮らしの方が、本当は幸せなんじゃないかと思う。そして時間とお金と努力で得る資格なんかより、心の資質の方がよっぽど得難いスキルなんじゃないか。

私があれしなきゃ、これしなきゃと駆け回ってると、調理担当のおばあちゃんはいつも、Slow downここはリザーブ(先住民居留地)なんだから。と言ってくれる。

美しい通勤路シリーズ

最近、どうやら私が学校に通っているようだと気がついた。身につけて来た数々のいらない癖に気がついて、より自然なハーモニーの中で生きるためのトレーニングの学校に。

ナマステ。

……と、昼ごはんで私がいただきますというたびに、横で彼女がつぶやく。どこの国の言葉だか、どんな意味かも知らないらしい。耳に入ってきたという。毎回笑っちゃう。可笑しいんだけど、言葉のエネルギーを掴んでるのがスゴイでしょ。