自宅から徒歩3分の場所で間伐。知人の裏山にある木を間伐して、日光を取り込むため。

事前に山主さんと伐倒する木を確認して、合計13本を伐倒、造材。普段の間伐現場は、軽トラから徒歩で道具を背負いアプローチするので、この近さは天国。しかも、足場も平地に近い。ただし、家の側に迫る木を倒すのは、緊張する。ミスをすれば家に木が倒れる、ぶつかる。だから、手間、時間はかかるけど、梯子に登り、1本づつチルホールで確保してから、伐採する。倒す場所も残す木の間を通さなければならない。狙い通りに倒れるとやっぱり嬉しい。

ところが、最後の1本でかかり木になる。最後に横着して、チルホールを使わなかったからだ。斜面の下側に重心が傾いているが、クサビだけでクリアできるだろうと慢心したことが原因。そして、受け口の角度が少し右に寄りすぎた。かかるとそれを修正して倒すまでに、かなりの時間を要する。いつ倒れるかわからないから、あれこれと木に触れられない、動き廻れない。そうは言っても、倒さなければ作業は終わらない。誰も助けてくれる人はいない。自分で完了させるしかない。

この状況の時、「早く倒したい」という意思と、「冷静に、安全に」という意思がぐるぐると葛藤を開始する。ここで焦ると、下手に木を動かそうとして消耗し、さらに作業がはかどらず、イライラして、危険性が増幅する。小菅村で作業をしている時、やたらにクサビを打ち込み、ハンマーとして使っていた斧の刃が衝撃で外れ、斜面の遥か下に飛んでいってしまった。刃を拾うため斜面を降り、登り、グラグラする刃を柄に差込み、またクサビを打つとまた同じことが発生する。思わず、1人で言葉にならない声を発声してしまう。

そんな時、まず、ゆっくり、しっかり、どうすれば良いのか、木を観察する。木の重力がどこの枝にかかっているか見極める。そうすると、どの方向に木を廻すのか、どちらから引っ張るのか、見えてくる。そうして対処しても、微動だにしない時もある。その時は、もう一度、木を観察する。後は繰り返し。倒れるまで。そして、道具をきちんと揃えておくこと。クサビ、チルホール、フェリングレバーを使いこなせば、必ずなんとかなる。

元玉をチェンソーで切る方法もあるが、自分はまだ経験が浅い。時間がかかっても安全な方法を取る。
作業をする度に、木と向き合う度に、まだまだ未熟な自分自身に向き合っている。