ENTENKA7/8に行った東海大学高橋先生とのトークをstand fmで公開しました。

「住環境と自然エネルギー、薪ストーブの魅力」をテーマとしてお話した50分。

改めて、暖房の種類には「対流」「輻射」の2つあることを確認。赤外線を放射し、物自体を暖める輻射は、暖めた空気が天井に上昇してしまう「対流」より暖かく、居心地よく感じる。輻射暖房の代表格が薪ストーブ、蓄熱式薪ヒーター。エアコン、石油ストーブは対流式で空気を暖めるが、物は暖まらない。輻射は暖まるまで時間がかかるが、そこで暮らす人間に、心地よさを与える。それは、体験しないとわからない。

その輻射の熱源となるのが、地域の森林からもたらされる、薪というバイオマスエネルギー。
高橋先生が話していた「エネルギーは本来、自分で作るもの。労働の対価であるもの。」という言葉は、刺さりますね。化石燃料が登場する以前の人類は、エネルギーは周囲の自然環境から調達してきた。バイオマス、水力、風力、家畜。エネルギーの種類も熱や動力が主だった。電力でさえも、地域の水力を使って家庭にほのかな光を供給していた。

地域の自然資源にアクセスして直接働きかける(加工する)か、人間や動物が生み出したり、インフラを自ら製造して得るものがエネルギーだったわけで、商品として購入する必要性がなかった。エネルギーが商品化され、巨大な市場が生まれ、利便性も、普及率も格段に向上したが、これまで行ってきたエネルギー創造の方法や文化が途切れてしまった。しかし、ここには人類の知恵や文化の結晶が散りばめられている。なぜなら、それは持続可能なエネルギー利用の方法だから。もし、持続可能性が担保されていなければ、存在することが出来ず、自分たちも気づくことが出来ない。

地域の資源ではなく、外国から輸入した化石燃料や原子力で発電した電力が配電されるようになってから、140年未満の歴史しかない。(日本初の石炭火力発電所が東京・日本橋に完成1887年!)
歴史的には、電力のない環境で暮らしてきた期間がいかに長いことか。逆に言えば、電力がなくても人々は生きてきた、暮らしてきた。
2050年ゼロエミッションというが、まず、考えるべきは、1760年産業革命以前に人々がエネルギーとどのように向き合ってきたのかという点ではないか。約200年、放出してきたCO2のツケを数値的に解消するだけでなく、エネルギーは自ら生み出すものであり、作るものであるという原点に立ち返ること、「ある」ことではなく、「ない」ことを前提に発想する教育も大事ではないかと思い至る、今回のトークでした。

最後に、教育の観点からは、「情報だけではなく、実践が伴わなければならない。目の前に現象が起きていると他人事にはならない。うまくいかないときは、なぜ、そうなるのかを考え、行動せざるを得ない。体験は個別に対処する必要性があり、面的な広がりはないが、非常に重要。」というお話があり、これは、技術や文化を伝達する際は古来から師弟制や口承伝承が選択されてきた背景とも関連性が深いように思いますね。

以下に今回のお話と関連性があるリンクを貼っておきますので、ご参考まで。

蓄熱式薪ヒーター
メイスンリーヒーター
高橋先生との共同研究
熱移動の3原則
プロが教える!正しい薪ストーブの焚き方
住環境教育協会

高橋先生、大西さん、Rawcals Crewの皆さん、参加者の皆さん、会場をお貸しくださった山荘水の元さん、どうもありがとうございました!