気持ちのいい朝、淹れたてのコーヒー片手にハンモックに揺られてウトウトしていたら、顔がくすぐったい。そよ風の仕業かしら、とウトウトしていたら、やっぱりくすぐったい。なにげなく触れてみたら、顔の上を堂々と歩くカメムシでした。

目覚めのカメムシ…

気持ちのいい昼さがり、はじめて嗅ぐ強烈な匂いが目の前に。瓶の中のオリーブオイルには無数のカメムシが沈んでいる。熟成カメムシオイル。よく熟成されたそれは、あの青い匂いではなく、竹藪のカビのような匂い、発酵臭も。この匂いを嗅いだカメムシは気を失って、自らこのカメムシオイル瓶に落ちていくそう。

午後のカメムシ…

今日はカメムシづいている、きっと昨晩のあの本のせいだと思う。

オタマジャクシのスープ、白樺の樹液リゾット、蛇せんべい、松ぼっくりジャム、樹液酵母パン、そして、パクチーの代わりにカメムシを使ったフォー。

狩猟採集の方法から、食べ方あじわい方、毒の見分け方まで、熟読。

今年2月に、14年間慣れ親しんだ東京恵比寿から、標高700mの山の中の水源地でもある森に囲まれた場所へアトリエを移しました。

ここにはスーパーもコンビニもないけれど「食べられるかもしれないもの」に満ちている。

食べものは買うもの、から、食べものは見つけるものへ。

野生の植物や動物や虫や菌たちのテリトリーに入って、いち動物として食物連鎖に参加してみようと思う。

私自身も「食べられるかもしれないもの」になりうるスリルと共に。

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