
家を建てる前、洋二郎が苦手な事はスケジュールの変更であった。先々の予定をしっかり立て、その通りに物事が進む事で安心する。まあ大概みんなそうだけどね。
しかし、カナダの大工仕事といえば大幅な遅れ。
家を建て始めた時、このプロジェクトが終わる頃、洋二郎は狂っているか、悟っているかのどちらかだろうと思った。プロの大工ではない洋二郎の家づくりとは言わば、職人達のスケジュール調整がメインであったからだ。
しかし、
家は立っても洋二郎は洋二郎のままだった。
しぶとい。
洋二郎は家を建てたのに気をよくして、トレーディングビジネス(カナダでは職人系の仕事をこう呼ぶ)の仕事を見つけると言った。
ただでさえスケジュールが遅れるのが苦手なのに、またその渦中に入るのか?と耳を疑った。
まず家具職人の見習いになった。ドイツ移民の親方にコテンパに言われながらも踏ん張ったが、クビになった。
こう見えて真面目な両親の元に育った洋二郎は、親に合わす顔がないと言って、ショックのあまり日本へ行く予定をキャンセルしそうなほどだった。
しかし、洋二郎は諦めない。
カナダの職業安定所をフルに使って、空調の職についた。うまくいきそうだったが、親方が仕事を取ってくるのに何度か失敗して、仕事がなくなった。
またクビになった。
本当に辛そうだった。当時は。でもありがたい事にカナダは失業保険がしっかりしているので、失業保険を貰いながら、家建設の最後の仕上げをすることができた。
そう。洋二郎は諦めない。懲りずにまたトレードの仕事を探すという。
今度は水道屋にターゲットを絞る。
やや引いて見守っていた私だが、今回はうまくいく気がした。水道は家づくりの時にも得意そうだったし、カヌーやである。なにぶん水とは相性が良い。
そして、3度目の正直は現在進行形である。
この間🐼ミックがやってきて仕事は何度も中断されたが、もう慣れたものである。さあ、この休み中は何を作ろうか!とむしろ意気込みを感じる。
前投稿の温室はコロ🐱陽性同僚からありがたく頂いた二週間の休暇のおかげで始まった。
ちなみに前回の🐼ミック中の作品はこちら。



今回の二週間のコロ🐱休暇、仕事は休みだが、好きなスキーにも行けない。家の周りでものづくりにいそしんで、夕方になると元気に「ただいまあ!」と帰って来る様子は楽しそうではあったが、「後3日」くらいから毎日カウントダウンが始まった。
カウントダウン後2日くらいだっただろうか。フト、「面白い時間の流れ方だなあ。」「こういうまとまった時間が、一年に何度か必要だと思う。」とつぶやいた。
そういえば、お上から来客禁止令が発令され、私達二人だけの珍しく静かな正月中、2020年は良い年だったなあ。と何度も呟いていた。
そんな時、はるばるカナダまでこの人に嫁入りに来てよかったなあ。と美穂は思うのでした。