夏ですね〜、もう8月ですよ。

ちょっとだけ涼しくなるお話をしたいと思います。

怖くない、気持ち悪くない、波動が下がらない、適度な怪談。

僕が小学4年生の時、母方のおじいちゃんが亡くなったんですよ。まだ59歳でした。

人間、最後は自分の死期がわかるっていうのはどうやら本当らしいなって思いました。

病院のベッドでじいちゃんが言ったんですよ。

「俺は今日は死なないんだ。13日にお迎えが来る事になってる」

そんなことを言ったんですよ。まだ数日先でした。

家族は「まさかね〜、まだ全然元気だしね。はやく退院してもらわないとね」と話をしていました。

でも、じいちゃんが自分の死ぬ日を予言した!という事で、親戚中はちょっとザワついていました。

その言葉通り13日の朝早く、じいちゃんは本当にあの世に旅立ったんです。

朝起きたら両親が家にいなかったので、
「ああ、じいちゃんの身になにかあったんだな」と勘付きました。

しばらくすると、母親から電話がありました。病院の公衆電話からです。

「おじいちゃんね、さっき死んじゃったよ」

僕は「そっか、母さんは大丈夫?今日って13日だよね」と言いました。

「仏様がお迎えに来たんだねきっと」そんな事を言われました。

もう小学生の僕の頭の中はクエスチョンマークだらけ。

じいちゃんが死んだ悲しみよりも、「何で事前に死ぬ日がわかっていたのか?」

偶然じゃないとしたら、世界がひっくり返るくらい大事だぞこれは。

悲しむよりも、その疑問に対して探求心が湧いてきて仕方ない。バチあたりな子供です。

じいちゃんが言ったことを整理してみようと僕は冷静になって考えました。

・俺は13日に死ぬから今日は死なない。

・お迎えが来る事になっている。

確かにじいちゃんはそう言った。
金田一少年ばりに頭を使いました。

当時、小説で金田一を読むという事にハマっていた僕。読めない漢字を子供用の辞書で調べながら読んでいました。

死期を予期するというのは、僕にとって世界の七不思議くらい興味深い出来事でした。

自分の固定観念を少しリセットし、新しい考えを受け入れる余白を頭の中につくりました。

僕が出した答えは、

「死ぬ日というのは、予め決まっているのかもしれない」

「何者かが迎えに来るという事は、マンガの幽遊白書みたいに、肉体が死んでも終わりじゃないのかもしれない」

これは面白いぞ!じいちゃん、僕の推測が合っているかどうか、何とかして教えてくれよ!

そう強く願ったのを覚えています。だからかな?その後、怪奇現象が続出したんですよ。

しかも、僕にじゃなくて大好きな、ばあちゃんに。

お葬式やお通夜が終わって、一段落ついた頃。

じいちゃんの死後に、ばあちゃんが初めて一人になった夜。

事は起こりました。夜中の2時頃。

当然みんなグーグー寝ています。

プルルルルルッ!って僕の家の電話がなりました。

なんだ?こんな時間に電話なんて。

父が電話に出ると、なんとばあちゃんでした。

「気味が悪いのよ。夜中に電話がなって取りにいったら、出る直前に止まって。そして庭に誰かいるみたいなのよ、人影が動いてるの。来てもらえないかしら?」

電話を受けた父は、おばあちゃんの様子からこれはただ事ではないと考えて、様子を見に行きました。

車で10分ぐらいの距離です。

しかし、程なくして帰って来ました。

「お父さんが行ったら何にも起きなかったよ。とりあえず、ばあちゃん、寂しいのかもな。

明日はうちに泊まってもらおう。お父さんが一人でばあちゃんの家に泊まってみるよ。」

父はそう言って、次の日の夜にばあちゃんと入れ替えで一晩過ごしました。

お父さん、一人で大丈夫かしら?と母が心配していました。

次の日の朝、帰ってきた父はこういいました。

「あの家を建て替えよう。あそこに家を立てて、ばあちゃんも一緒に住もう」

父にも怪奇現象が起きたようで、それは死んだじいちゃんが何かを訴えていると受け止めたようです。

「いったい何があったの?」と大人たちは父に質問しました。

父「まず夜中に電話が鳴ったんだよ、やっぱり2時頃だったと思う。

それで出ようとしたら切れたんだ。

その後、庭に人影が見えた。誰かいるみたいだった。

そしたら急に、玄関のノブをガチャガチャ回す音が聞こえたんだ。鍵はかかってるから開かないけど。

すると、今度は家中の窓が一斉にバンバンと叩かれる音がした。

人間の仕業ではない事が起きたんだ。

きっと死んだお義父さんが何かを伝えたかったんだろう。」

僕はドキっとしました。

じいちゃんに、僕の推理が正しかったら合図をして下さいと仏壇にお願いしておいたから、そんなことになったのでは?

じいちゃん、きっと僕に合図をくれたんだな。

僕を怖がらせないように、ばあちゃんと父さん経由で合図をしてくれたんだ。

ありがとうじいちゃん。

それから僕は、ほんの少しだけ、

幽霊の存在を信じるようになりました。

まだ小学校4年の春の出来事でした。

じいちゃんありがとう。僕は今100%信じることが出来ているよ。

ありがとうございました!