ルーサー・バーバンク(1849〜1926)が植物の魔術師と言われる所以は、

植物に念を送ったり、話しかけたりする事で、変異を促し、新品種を生み出したからです。

その数三千種あまり。

今僕達が気軽に食べているほとんどの野菜は、実はルーサー・バーバンクの品種改良によってつくられています。

バーバンクよりも前の時代に食べられていた野菜というのは、

野生の原種のため、苦かったり小さかったり、作りづらかったりしたんです。

今では品種改良といったら、遺伝子工学とか化学的な実験とか、そういう「バイオ」な雰囲気がありますよね。

でも、バーバンクの時代にそんなものはありません。

研究設備さえなかった。

あるのはただの農園。

鋤すきとか鍬くわとかジョウロとかしかないわけです。

話しかけたり念を送ったりして、植物に自ら変異してもらうしかないんです。

植物とコミュニケーションが出来る彼にとって、それは根気のいる事ではあったかもしれないけど、

決して不可能な事ではなかったんです。

当時の品種改良は種の交配です。それしかなかった。

なぜバーバンクだけが突出して成果を上げていたかと言いますと、

彼は植物達に祈りを捧げていたんです。そしてときには愛を語りかけ、

植物の声にも耳を傾けていた。

サボテンにも何度も話しかけ、棘とげなしサボテンをつくった。

「ここには、おまえの怖がるようなものは何もないよ。棘など生やさなくていいんだよ。僕がおまえを守ってあげるからね」

と何度も声をかけられたサボテンは、

バーバンクの愛に応えて徐々に棘のない状態に変化し、野菜となった。

サボテンにとっても幸せな事だと思うんです。

自然界の食物連鎖という循環にこれまで以上に貢献出来るのだから。

「愛の力は何よりも大きい」とバーバンクは言います。

僕もそう思います。

余談ですが、パラマハンサ・ヨガナンダという人がいます。

ヨガナンダはガンジーの師匠であり、エルヴィス・プレスリーやスティーブジョブズに影響を与えた、

偉大なヨギーです。

その彼がバーバンクを尊敬し、本の冒頭に「この書をアメリカの聖者、故ルーサー・バーバンクに献げる」と記して、一章を設けています。

自叙伝「あるヨギの自叙伝」という本です。

それともう一つ、これも余談ですが、

バーバンクは新品種を作っても特許を取らないばかりでなく、育種法を公開していました。

何千億、それ以上の富を得ることが出来ていたとしても、そんな事には興味を持ちませんでした。

「ここに語り合うすてきな花たちがいるのに、どうしてお金を勘定しないといけないんだい?」

そんな素敵な言葉をさらっと言えたバーバンク。すごいなぁ。

僕も畑で植物達とコミュニケーションを取ってこようと思います。

ありがとうございました!