初めは面白がって写真に留めたが、もちろんこの後写真を撮る余裕はなし。

この二日間、毎日8時間自転車を漕ぎ続け、旅も終盤。2日目の午後、テント場に着く直前は珍しく2度クラッシュした。1度目は何でもないところで何かにつまずいて道の脇に転落。ありがたい事に何層にも茂った草がネットのようになっていてどこも打たなかったかが、ゆっくりと着地した地点はぬかるみで、右半身泥だらけ。2度目はなんと漫画のように木に激突。ヘルメットよありがとう。と、まず思った。しばらく頭上に星がクルクル回るのをやり過ごし、その後は2度ある事は…と呪文のように念じて無事着いた。

さて、3日目については洋二郎くんはハナから楽勝モードでいた。「たった3時間でほぼダウンヒルだから〜。」と。


しかし、もう2度と来ないと言いながら通い続けて9年目。私は知っている。チョーコートンをなめたらいけない事を。


近年、日帰りが可能な手前側のエリアや水上飛行機やパックホース雇って楽しむバイクツアー使うトレイルは整備良くされていて、倒木やガケ崩れ、大きな沼地などは少ない。山深いチョーコートンにはトレイルは無数にある。それ以外のトレイルは分岐点の道標も無く、途中で道が無くなったりすることも多々ある。数年前、3日目に通るトレイルに初めて来た時は手前で道に迷い、自転車を担いでの藪漕ぎの最中に、人間の顔よりも大きなグリズリーの足跡に肝を冷やした。ようやく見つけたトレイルは倒木がひたすら続き、車に到着したのはスタートから10時間後だった。


その時私は、絶対もう来ないと固く誓った。そして、半分忘れて半分妥協して、チョーコートンの別のトレイルに毎年戻っていったのだ。


今回、3日目のトレイルは例の封印した帰路トレイルであったが、去年洋二郎君が既に一人で下見済みだった事と、違う意味で恐れていた墓場という衝撃的なトレイルを越えた事ですっかり油断していた…。


去年は良くても今年は分からない。3日目、フタを開けてみれば私達の行手には嵐や雪崩、松食い虫に病気などによる大小さまざまな倒木が倒れていて障害物競走状態。大概は1人で自転車を持ち上げて超えられたが、中には2人で協力しないと通れないような大きな木がいくつも倒れている所も。乗ったり降りたり押したり担いだり。渓谷沿いのトレイルを下流にあるスタート点まで戻るだけだから下り基調と思っていたが、大きな登り返しも結構多い。昨日転んで打った左肩が上がらず、力が入りにくい。天候は昨晩からあいにくの霧雨。でも実際はこれがありがたかった。開けた草原地帯の急登を自転車を押して登りながら、いつの年だったか暑さで泣きごとを言っていたのを思い出した。

この坂が毎回難所なんです。砂地で滑るし、急だし、日差しを遮るものがあまりない。

障害物競走エリアも、終盤になり登山口に近づいてくると倒木が整備されスムースに進めるようになった。出発する朝に会ったおじさんは、トレイルヘッドのキャンプ場に一週間滞在して、ボランティアでトレイルメンテナンスやってくれているそうだ。今度会ったらビールでも差し入れよう。


障害物のないトレイルのありがたさをみに沁みながら、最後は雨の中、身体が冷えるほど一気に降りきって、車を停めておいたキャンプ場に無事到着。


さて、雄大な景色の中でのチョーコートンのバイクパッキングは楽しいが、身体のリカバリーにいつも一週間以上かかっていた。酷い筋肉痛や打撲痛、疲労が蓄積して肩こりにもつながる。


しかしこの痛み、去年ぐらいから解放された。翌日にはまるでウソのように全く筋肉痛がない。今回は流石に打撲したし、左肩が上がらなかったからまずいだろう。そう思ったが翌日には肩が動くようになり、翌々日からはなんの痛みもなくなった。


年齢とともに筋肉痛がひどくなるのが一般的なのに…。


秘密は魔法の砂糖玉にある。ホメオパシーというドイツ発祥の代替医療で、動物、植物、鉱物の抽出液を何万倍に稀釈振盪して作る。天文学的倍率に薄めるので現物質は残っておらず、波動の医学とも言われる。

バイブレーションによってできた水の波紋。身体にこんな感じで伝わっていくのかとイメージすると体内に宇宙が広がる。

砂糖玉から伝わる波動は、身体に必要とする信号を送り、身体にがそれに応えて自己治癒力を発揮させるという仕組みだ。


いててて〜‼︎と悲鳴をあげ、洋二郎君はよく足を攣る。当初はホメオパシーに懐疑的だったものの、この足のツリに秘密の砂糖玉があまりに効くので、今では攣り薬。とよんで頼りにしているフシがある。


このホメオパシーの種類のうち、アーニカという植物由来のレメディーと、マグフォスという鉱物由来のものを去年あたりから、運動中水ボトルに一粒入れて、終日チビチビ飲むようにしていた。ボトルの水が無くなりそうになったら、少し水を残して沢から新しい水を継ぎ足す。これを繰り返すとさらに稀釈振盪が続き、ホメオパシーの水がどんどん強力になっていく仕組みだ。


カナダでは薬局でどこでも買える。日本でもインターネットで買える魔法の粒。

と言っても実際に治験率や治験例を知れば魔法でも何でもない事実なのだが、今の世の中では代替医療は肩身が狭い。

私の小さい頃の夢は体質改善であったが、その夢も叶い、歳を重ねるにつれてハードなスポーツに勤しんでいる。人生って素晴らしい。スポーツのおともにホメオパシー、お試しあれ。