クレソンには豊富な水が必要です。

私の住んでいる野原の辺りは道志川本流が谷底で本流からの水は取れず、支流では水量が足りないので、適地はありません。 

村内のクレソン農家が栽培をしている場所は村内の道志川中上流部です。

私たちのように有機栽培を目指していると、隣接の圃場で除草剤を使われたり、殺虫剤を散布される場所は敬遠せざるを得ません。

さらに、最近は獣害がひどく、鹿は根こそぎクレソンを食べてしまうし、鴨は空からやってきて集団で荒らしていきます。猪は田に入らないものの、ミミズが目当てで畦をめちゃくちゃにすることもあります。これは圃場全体、四方と上面にネットや壁を張ることで防げますが、台風で柵の支柱が倒れて、復旧する間に鳥獣被害に合うこともあります。

台風被害では、何より水路が土石で詰まると復旧に時間がかかるのが困ります。一週間以上かかれば、クレソンはダメになってしまいます。

私たちは四年前、善之木・水之元という場所でクレソン栽培を始めましたが、二年連続で台風により水路が土石で詰まり水が来なくなり、収穫できませんでした。馬耕で耕し、様々な思い出がありましたが、今年の春に地主さんに理由を言ってお返ししました。

↓2018年10月取水口から水路全体に土石が詰まった様子です。ショベルカーでないと取り出せないほどの石が詰まりました。右の流れが道志川本流です。こんな状況毎年だどめげます。

また、ここは良いと思った場所があっても、栽培を始めたら畦から水が漏れ隣から苦情が絶えないので、畦を厚くしても畦シートを使っても別の場所から水漏れ起きたり、水の出口が狭くて水量調節が難しいとか、やってみないとわからないこともあります。村内の石積みの畦、水の出入り口は水稲を考えて作られているので、水を流しっぱなしのクレソン向きではないところが多いのです。

そして地主が貸してくれないこともあります。私は二カ所断られています。

この土地にしがらみの無い私としては、クレソン農家として本気になろうとすればするほど、村に固執する必要はどこにも見つけられないのです。

村内で豊富な水が自由に使えるか湧き水で、周りに他の耕作者がいなくて、谷間で鹿が入り込まないような地形で、でも軽トラは横づけ出来て、「クレソンに適した田を作ってみろ、地代はいらねえ。お前の好きに作ってみろ!ショベルカーならうちのを使え!なんなら土建屋にも口きいてやるぞ!」なんて地主さんが現れないかな。

そんなウマイ話はないので、真面目に地道に進みます。