東京都高尾にある、林野庁直轄の研修施設、森林技術総合研修所で開催中の林政アドバイザー研修もあと半日。火曜午後から始まり、水曜、木曜、明日午前と、20時間近い集中講義を受ける。
内容は、林野庁が展開する林政の基礎となる施策や制度について。
森林経営管理制度、森林環境譲与税、森林整備事業、森林GIS、境界明確化、保安林・林地開発許可制度などについて、林野庁各課から実際に制度設計を行っている方々が直接講師として登壇し、制度の内容や在り方について講義を行う。

霞ヶ関で制度設計を行う現場にも様々な苦労や制限がある中で、制度の完成後、うまく運用できるかどうか。その行末は、各県や各市町村の林務関係者、森林組合や民間、個人の林業関係者に託されていく。
その局面で、国から降りてくる制度と現場から立ち上る課題や要望をすり合わせ、あるべき森林の姿や林産業を地域の独自性に基づき形を作っていかなければならない。そのプロセスの支援をするのが、林政アドバイザーとなる。5月から小菅村の林政アドバイザーとして既に週2日ペースで役場に勤務しているが、改めて、自分が果たすべき役割について考える良い機会だった。

小菅村は、関係者と一緒に、3年間かけて準備を行なってきた小菅の湯への薪ボイラー導入の実現に向けて最終段階に入った。同時に、東京都水源林である森林整備とその産業化について、独自のアプローチで舩木村長が積極的に切り込んでいるから面白い。役場林務の若手職員の方や、フォレストアドベンチャーマネージャーの関口くんと連携して、新しいステージを作っていきたいと思う。隣村の丹波山村には、のめこい湯に薪ボイラーが導入されていて、地域おこし協力隊OBの佐藤くんも林政アドバイザーとして頑張っているし、もっとお互いに連携していきたい。さて、どうするか・・・。

研修について話を戻すと、先日受講した森林総合監理士研修の内容と被る項目も多かったが、やはりZoomで話を聞くより、対面で講義を受ける方がよく理解できる。話す人の熱を感じると、どうしても呼応したくなるのが人間なのか。また、他の人達が熱心に聴いている、質問していることにも刺激を受ける。だから、質問の意欲も高まるし、講師から即座に回答が得られるのもいい。

これまではこの形式が当たり前だった。いつでもどこでも、移動制限なく開催できるオンラインMTGは便利だが、熱が伝わりにくい。実際は聞いていないということもやりやすい。周囲に聴講者がいないので、ライブ感が欠ける。Zoomで専門的な講義を長時間聞くのは、かなり集中力と忍耐力が必要になるのは、こうした背景があるからなのか。

また、全国から参加する受講者の方々と会って話が出来るのもいい。今回の受講者は14名で、青森県から宮崎県の各地域で、林政や林業に関わる行政職員やコンサルタント(森エネの大先輩!)、自伐型林業に取り組む地域おこし協力隊など多様な方々が集まっている。この状況なので、懇親会が出来ないのは残念だが、教室や食堂、談話室、お風呂などで機会があるごとに、話をしたり聴いたり。これがとても面白いし、勉強になる。

林政、林業といっても、広大な分野があるので、全てをカバーするのは難しい。自分の得意分野からどのようにアドバイザーの役割を展開していくのかを組み立てる必要がある。今日、何人かと話し合って到達したのは、まず、地域の現場にいる各主体の話をよく聞くこと、そして、地域を俯瞰してみながら、どこに課題があるかを捉えていくこと、この2点が大事だろうということになった。

そんな中、山形県白鷹町の方からは、講義中に作業道の水切りで低コストで良い方法について質問していたら、部下の方に連絡を取って頂き、参考になる書籍の情報を山形からメールで教えて頂いた。ありがたいですね。そして、岡橋さんの本! 岡橋さんには、天川村で一度、豕瀬さんの紹介でお会いさせて頂き施業現場を見せてもらった。

人が出会うとドラマがある。そんな当たり前のことに気付けたことは、いいこと。

人の熱がドラマを生む。